Saturday, November 18, 2006

諸行無常




 先週、廃墟めぐりの好きな友人に誘われて千葉県へ行ってきた。 都心と違って土地の値段が低いせいか、千葉には多くの廃墟が荒れたまま残っている。 最初に立ち寄ったのは街道沿いにポルシェの廃車が置いてあった空きビル。地下は浸水し、上の階には雀卓が出たまま。 この一帯には廃業したパチンコ屋もあり、こちらの従業員達が寝泊りしていたと思われる寮の半分陥没した階段を登ってみる。ドアには鍵がかかっておらず、中は荒れ果てた廃墟となっているのだが、三つ目のドアを開けると壁に光がちかちかしている。 どうやらテレビの電源が入っているようなのだが、そこには人の気配はない。 恐さから退散したい気持ちと、なぜ電源が切られているはずの廃墟でテレビが映っているのかを知りたい好奇心の格闘の末、勇気を出して中へ突入。 確かにテレビはついていて、みのもんたの司会する番組が古ぼけた色の無声画像でちゃんと映っていた。 テレビ自体も縦に四角いチャンネルボタンが並ぶタイプなので20~30年前の形式である。 とにかく暗い部屋で薄気味悪いので長居はせず退散。 その後、レストランや土産屋の廃墟を周り、もうすこしスケールの大きいものはないかと物件を探していると写真の廃墟が突然海沿いのところで出現した。 お~、これは凄い!と全員興奮気味だが周囲は入れないように固くバリケードされている。 しかし窓から見える中の様子はあまりにも凄そうなので建物を一周すると一箇所入れそうな入り口を発見。 真っ暗闇の中で懐中電灯をつけるとそこは「バイオハザード」などのゾンビ映画に出てきそうな荒れ果てた厨房だった。 窓もなくて真っ暗だったのでとにかく恐い!そこを抜けるとフロントデスクのあるロビーがあり、ここは昔リゾート・ホテルだったという現実に遭遇する。 荒れ果てた客室、大浴場、広間、スカイラウンジをみながら、そこにはかつてゲストの笑い声が飛び交う華やかな時代があったことを想像し、繁栄とはほんのひと時のものであることを痛感した。 自分が今住んでいる家もあと20年、30年後には廃墟となっているかもしれない。
諸行無常である。

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