Friday, December 28, 2007

適応


海外取材の依頼があったときにまず真っ先に考えるのが持っていく機材のこと。 最近は航空会社の手荷物規制が厳しくなったおかげで荷物が何かと多いカメラマンにとってはかなりストレスとなる。 出来ることなら最小限の機材で出かけたいが、現地で商品撮影や料理撮影があるとライティング機材をどうするかの問題が出てくる。
私のホームページにある時計の写真の多くは4年前にスイスのバーゼル・フェアとジュネーブサロンに行った際に見本市会場の現場で撮ったものである。 このときはクオリティー優先の為に日本からモノブロック、スタンド、トレぺなど多くのスタジオ機材を持ち込んだのだが、これらの照明機材とカメラ機材を毎日、2週間以上もの期間持ち歩くのは非人道的ではないかと思えるほど大変だった(笑) 
雑誌の海外取材となれば、たとえ料理がメインでなくても必ず撮って欲しいという要望があったりする。
では、料理写真でもどの程度のレベルを求めているかによって持っていく機材が変わってくる。
今回ポートランドへ行く事前の打ち合わせで「料理がメインではないので料理専門誌までの撮り方をしなくていいよ」と言われて大型ストロボおよびモノブロックは不要とわかってほっとするが、その反面いい加減な写真を撮れないのでこれまた考えてしまう。 昼間の撮影であれば自然光という手があるが、夜に暗いレストランとなればどうするか? とりあえずニコンの小型フラッシュは一個持って行くことにした。 しかし、ディナータイムに客が入っているところでフラッシュを焚くのも迷惑であるので気が引ける。 テーブルにスポットライトがあたっていればその明かりを利用することができるが、そうでないロウソクの灯りしかない暗いレストランではどうするか? 
今回デジタルを使っていて良かったと思えたのは上の写真のようにロウソクの明かりだけで撮った後にフォトショップで色調整ができるという点である。 もちろん一つのロウソクだけではなく、背景が溶け込まぬようにバックグラウンド用に一個、そして手前はテーブル上にあった残りのロウソク(2~3個)を集めて2~4秒くらいのシャッターで撮ったのである。 後は誰かに白い紙かナプキンをレフ代わりに持っていただくと結構いける。 フィルムだったら相反則不軌や真っ赤でどうしようもない写真で終わってしまう。 デジタルのおかげでこれまでに出来ない冒険ができるようになった。 ちょっと前までの「この機材がなければ撮れません」というしがらみから解放されてもっと現場に適応する考えを持てるようになったのはいいことである。

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