Monday, December 21, 2009

私の撮る写真




これらは最近撮影したビジネスマンのポートレートです。 皆さんすべて素人の方で撮り始めの際には凄く緊張されておられました。でもしばらくするとこの通りのリラックスした良い表情になります。
一部の人を除いて大抵の人はカメラの前で緊張しますし、それが普通です。 自分もそうですし、ほとんどのカメラマンもそうだと思います。  いまだに魂を抜かれるとでも無意識に思っているのでしょうか?(笑) 
私は「はい、こっち向いて笑って!パシャ」という単純作業で写真を撮りません。  緊張している状態からその方に合ったリラックスした理想の表情になるまでコミュニケーションを大切にします。 なので大会社の偉い社長さんでも積極的に注文をつけたりします。 それに多くの方はカメラの前でどうしたらよいのかがわからずに指示を待っているので、ちゃんと導くことが大切です。 ちょうど役者と監督の関係と似ていて、どれだけ優れた役者さんでも監督の適切なガイダンスがないとその才能が十分に発揮されないのと同じです。
ですから、人を撮影する場合に一番大切なのが監督としてのコミュニケーションスキル、そしてあとは背景や光の処理のセンスだと思っています。 このセンスの部分もカメラマンによって千差万別で、より良いセンスを持つことが大切です。 またカメラマンによってはライティング技で自分らしさを出す人、フォトショップ技で自分らしさを出す人がおりますが、私の場合はそういう形にハマったスタイルはなく、その場でベストな背景や光を活かす方法を使っています。 料理人がレシピどうりではなく、その場にある食材を活かした料理を作るのと似ているかもしれません。

Tuesday, December 15, 2009

刃物のまち 武生







先週は福井県の武生(越前市)へ撮影に行ってきました。 こちらは大阪(堺)、岐阜(関)、新潟(燕三条)、高知(土佐山田)と並ぶ日本を代表する刃物の生産地。 しかも地元のクラッド・メタル(金属のベニヤ板のようなもの)を製造している会社のハガネ材料が武生以外の刃物生産地でも使用されるほどここは刃物業界の中でも重要な存在です。

私の母は大阪出身だったので昔から堺の包丁を用途別に何本も使用していましたが、我々の世代になるとあまりこだわりがなく、小さい子供がいると鋭い刃物は危険だということで近所の金物屋で売ってるステンレスの文化包丁を一本買って切れなくなるまで使っている場合が多いのではないでしょうか?
今回地元の方々からお話を伺うことによっていかに同じ材料を使った包丁でも、その材料が持っているポテンシャルをどれくらい活かすことができるかは職人が持つ技術によって大きく変わることを知りました。 武生はそうした熟練職工が多い街だそうです。
もう一つ興味深かった話で良く切れる刃物は切り口がツルツルになるほど食材の組織を破壊しないのでより食材がより美味しくなるとのこと。

刃物工場の中はいわゆる鍛冶屋の世界ですが、窓からの自然光によって浮かび上がる作業光景はまるで映画のセットのように美しくて写真を撮る者にとっては素晴らしい題材となりました。