Tuesday, July 22, 2008

デジタルのモノクロ


私が80年代に写真を勉強したアメリカのBrooks Institute ではモノクロ写真の質を徹底的に叩き込まれました。 おかげで美しいトーンのモノクロ写真を見分ける眼を持つことができました。 フィルム時代は暗室で納得が行くまでプリントを焼きなおしておりましたが、デジタルへ移行することによって銀塩プリントが持つ独特の味わいやトーンの深みをどうやってインクジェットで再現できるのかが大きな課題となります。
その中で5年ほど前に撮ったこの人物のポートレート(http://www.yasooo.com/jp/people/bw2/12.html)はかなり気に入っています。 当時はまだデジタル一眼レフの先駆者的存在だったニコンのD1Xで撮影しましたが、その質は今でも通用するので、最近ほとんど見かけなくなったD1Xがいかに素晴らしいカメラであるのかがわかります。
こちらの写真は昨日ニコンD3で撮影したもの。自然光だけで撮影しましたが中々良い階調のトーンが出ていると思います。
デジタルカメラで美しいトーンのモノクロ写真が撮れた時が一番嬉しい瞬間です。

Wednesday, July 16, 2008

ラフを再現するにあたって


我々商業的写真家は芸術写真家と違ってお金を貰うかぎりはお客様の希望する写真を忠実に再現してあげることが必然となります。 デザイナーはクライアントのOKをもらうために最終的な仕上がりがイメージできるラフ案を作つくりますが、いつしか皆このラフ通りの仕上がりを期待するようになります。このラフが単なる鉛筆でおこしたスケッチであれば、それを写真という別のプラットフォームに作り変えることでそのカメラマンの技量が評価されますが、すでにあるサンプル写真をはめ込んである場合はそれを超える写真を撮らねば単なるコピーをしているのではないかというジレンマが写す側にあったりします。 結果的にこの研究所で撮影した写真は結構気に入っていますが、元になる写真があってこそなので、それに敬意を表してフォトショップの勉強をさせていただけたことに感謝します。

Wednesday, July 09, 2008

すぐそこの景色


来月渋谷にある英会話学校で英語を使った写真の授業をやるので先日打ち合わせに行ってきました。 その際に窓の外を見ると美しい夕日を浴びた大きな雲がありました。 このアングルで雲だけをアップで撮っても状況が今ひとつ伝わらない。 じゃあ、手前の線路まで入れるかとズームアウトするのだが、何も走っていない線路を写しても間が抜けた写真になるので列車が程よく通過するのを待つこと10分。 英会話学校の先生にはお待たせしてすみませんでした(^_^;) でもこうしてまとまりのある日常の一コマに仕上げることができました。 アンリ・カルティエ・ブレッソンの「決定的瞬間」には及びませんが写真は「今だ!」と思ったときにシャッターを切るタイミングが大切ですね。 それと毎日の光景でもちょっと注意深く観察してみると意外に感動があったりするものです。

Sunday, July 06, 2008

Ernest H. Brooks II




先日、銀座7丁目に新しくできたニコラスGハイエック・センターというSWATCHグループが入居しているビルで行われたBlancpainの内覧会パーティーに出席してきた。 目的は同時開催されている水中写真展の為に来日したアーネスト・ブルックスさんと逢うために。 ブルックスさんは写真のジャック・クーストーと言われている有名な水中写真家であると共に、私が卒業したブルックス写真学校の元校長である。28年前に在学中のとき、彼は海洋写真のクラス用に大型ヨット1隻と潜水艇を2隻を所有し、Panteraというスポーツカーに乗っていた。 当時一学期ごとにクラスで一番の成績を取るとこの校長から親宛にお褒めの手紙が届いた。 大阪に一人で残した母はこの手紙を20通近く受け取り、息子がアメリカでまじめに勉強していることを知るのであった。
ブルックスさんは現在73歳ですでに引退しており、今でも相変わらずダイビングをしながら水中写真を撮っているそうです。 しかし彼が何よりも喜んでくれたのは卒業生の私がまだこの業界に残って写真を撮っていることです。

Saturday, July 05, 2008

abbey road


先日アメリカ ニューヨーク州にて全米でも1位か2位の規模で高級食料品店のチェーンを展開するWEGMANS Food Market と仕事をしました。 WEGMANSはメンバー登録したお客様向けに年4回(100万部)MENU magazineというレシピや海外への買い付け記事を掲載した雑誌を発行していて今回は日本茶の買い付けstoryを載せたいとのこと。来日した4人の営業担当者と2週間にわたり静岡や宇治のお茶園をめぐりました。
ハードスケジュールでしたが、こういう仕事は楽しいです。 そして何よりも一流だなと感じさせられたのが支払いの早いこと。 請求書を出してわずか2,3日で代金を支払われました(吉) これまでに請求書を入れてから24時間で振り込まれた海外の出版社もありましたが、中々こういうケースは少ないのが哀しき現状。 やっぱ支払いがきちっとした会社は優良企業です。
この写真はたまたま京都に到着して平安神宮を通りかかった際に遊びで撮ったものです。 横断歩道を見た瞬間になぜかビートルズのアビーロードを思い出してしまい、みんなに遊びでやってみないかと尋ねるとそこはアメリカ人 皆ノリノリ(笑)  一人なんかは「確か一人裸足のメンバーがいたよ」と言ってそのばで靴と靴下を脱いでしまった。 帰ってからビートルズのジャケットを確認すると本当だ。 このジャケットではメンバーが左から右へと逆にあるいているけど確かに3人目のポールが裸足だ。
「いやあ、写真って楽しいですねえ」(水野晴郎 調)と思えたワンショットでした。仕事もこういうちょっとした遊びで盛り上がれるといいね。