Sunday, March 06, 2005

バイリンガルなサイト

私のサイト及びこのブログも日本語と英語の両サイドがあります。なるべく同じようなことを記載しようと心がけながらも文化の違いから多少の構成に違いがあります。というのも海外では自分をもっと積極的にアピールしますが日本人は謙虚さを美徳とするので変にアピールするとナルシストにも捉えかねないからであります。 私の英語サイトの方では最近testimonialというページを足しました。「テスティモニアル」とは辞書で引くと証言、推薦という意味があります。ここでは私の仕事に満足されたクライアントからの一言を紹介していますが、さすがに翻訳して日本語のページにするまでには至りません。このブログも英語サイトとは微妙に書いてあることが違ったりします。 もし英語の勉強かたがら興味ございましたら下記のリンクからご覧いただけます。
testtimonialのページ
http://www.yasooo.com/en/contact/testimonials.html
英語のブログページ
http://yasooo.blogspot.com/

meet the photographer Posted by Hello

Friday, March 04, 2005

優れもの

レンズ交換のできるデジタルカメラをを使用している者にとって一番の悩みはCCDやCMOS(正確にはローパス・フィルター)の上に付くミクロのゴミである。これまでは専用の液体クリーナーしかなくて素人がヘタに使うと拭き残しとか出てしまうので面倒ながらもメーカーのサービスセンターへ持ち込んで掃除してもらっていた。 最近になって海外の写真ポータルサイトでセンサー・ブラシという面白い道具を発見した。カナダに本社がある半導体の掃除用ブラシなどを作っているメーカーが出している製品で一件画材店で売っている刷毛と全然かわらない。ところがこの刷毛にエアガンの空気を5秒ほど当てたあとにローパスフィルターの上を一拭きするだけでほぼ100%に近い確立でゴミは取れるのである。ただしこの会社は直販でしか売っていないのとバックオーダーが溜まっていて注文してから納品までには2ヶ月くらいかかる。その間メールで何度も催促しなければならないので英語の苦手な人にはちょっとつらいかもしれない。 ちなみにブラシの値段は100ドルくらいである。 興味ある方はこちら
http://www.visibledust.com

デジタル化へ

40歳以上のフォトグラファーではデジタル化している人達とそうではない、いまだにフィルムでの撮影にこだわる人達の2極化が見られる。 どちらが良いとは言えないけど世の中の流れは刻々とデジタルの方へ向かっており、あと数年でフィルムの人達も対応せざるをえない状況になるだろう。近年アメリカから受ける仕事は100%デジタルでの依頼である。 90年代にDVDが出始めたときもアメリカの方が早く普及し、ここに来てようやく日本でもDVDがVHSを抜く次代となった。やはり世の中の流れには逆らえない。レコードからCDへ、カセットからMDそしてさらにMP-3へと我々も余儀なく変化させられたように写真も完全にデジタルが主流の時代が来た。 デジタル・デバイドという言葉が少し前にあったがこの業界もそれがあてはまりそうな傾向だ。

Wednesday, March 02, 2005

リチャード・アヴェドン

最近リチャード・アヴェドンやアーヴィング・ペンという名前を聞いても知らないというアシスタントが増えてきている。 40歳以上のフォトグラファーにとっては少なかれどこかで影響を受けた20世紀中のもっとも偉大な写真家の一人だと思う。その彼が昨年80歳でこの世を去ったのだが病死ではなく仕事中というカッコいい終わり方である。アヴェドンとの出会いは74年頃に日本のテレビや映画館で放映されたJUN&ROPEのCMだった。男装したモデルがスタジオに入り、シャツを開けると女性のバストが現れて初めて女性であることに気付くこのCMは非常にインパクトが強く、その後もずっと頭に焼き付いている。特に後半で見事に美しい女性へと変身したモデルが風に吹かれてカメラの前へ登場し、その瞬間を抑えたアヴェドンが「素晴らしい」というポーズをとるシーンは多くの人達をファッション写真という世界へ憧れさせたと思う。 今から22年前私はアメリカの写真学校を卒業してニューヨークで有名なフォトグラファーのアシスタントをしていた。 いっしょに住んでいたルームメイト二人もそれぞれアーヴィング・ペンとリチャード・アヴェドンのアシスタントを務めていた。 毎晩仕事が終わってロフトへ帰ると我々はビールを片手にその日スタジオであった出来事をシェアした。時にはそれぞれのスタジオから持ち帰ったゴミ袋の質を比べあったり、お昼のケイタリングの残り物を持ち帰って試食していたがダントツにアヴェドンが勝っていた。 そんなある日アービング・ペンの奥さんの彫刻展オープニングへ招待されて行って見ると当時の写真業界で有名だったScavullo, Hiroなど有名どころはすべて来場していた。アシスタント同士でかたまっているとエレベーターのドアが開いてアヴェドンが登場するのだが、真っ先に我々のところへ来てHi guys!と言って一人一人に挨拶してくれた。 これには凄く感激した。彼のアシスタントが我々を紹介すると「君たちは写真業界のマフィアか?」と鋭く冗談を切り返してきた。 しかし一番凄いと思ったのは握手した瞬間の彼の眼差し... それは初めて会う人というよりは長年の友人でもあるかのような優しくて暖かいものであり、そして一瞬にして彼の支配下に置かれてしまうマジックのようなものである。 アヴェドンの写真に写っている浮浪者から大統領までの幅広い被写体はすべて彼の魅力の虜となっているからこそあのような写真が撮れるのであって単に8x10カメラで撮影したからだという問題ではない。彼が放つもの凄いエネルギーがそのまま写っているのであると思う。 以前にテレビで兼高かおるさんも相手という者は自分の鏡のようであるとおっしゃっていたように人は必ず相手に敏感に反応してしまう。相手に優しくされると自分も同じように優しくなれるけど、相手に不快感を与えられると自分も嫌な気分になってしまう。 単純なことだが自分がどういうオーラを発しながら相手と接しているかを考えずに過ごしている人が多いと思う。 私は撮影でこれまでに多くの政治家や大企業のトップ、著名人達を撮影してきたが必ず相手にとって和める雰囲気作りに努力する。 結果というものはライティングとか機材ではなく、いかに相手と接したかが一番重要な要素であると思う。

私の仕事 その2

私の仕事は元々スティル・ライフから始まり、そこでの出会いからしばらくメンズ・ファッション誌をやり、そしてある時期から本来好きなポートレートへと移行してきた。途中でCMのプロデュースからポータルサイトのコンテンツを作る映像プロデューサーなどもやったが現在はまた人物の写真撮影をやっている。昔から人なつこい性格であるので色々な人と出会うのが楽しい。電車とか外で面白い人を見かけるとどうしてもジロジロと観察してしまう。こういう時に相手と眼が合うと外国じゃ「ハイ」の一言とスマイルでその場が和むのだが日本では文化の違いから中々そうはいかない。それはとても残念に思う。電車やバスの中で見知らぬ者どうしで楽しく会話をもてた時ほど気分のいいものはない。 こういう性格なので仕事の撮影でも相手が総理大臣であろうが大企業の社長さんであろうがなるべく会話を持つようにする。もちろん相手に失礼のない程度に礼儀をわきまえての話であるが、写される側にとっても楽しい場作りに努力をしている。 昨年ある会社からトップセールスのグループに所属する50人のポートレートを依頼された。普通の写真屋さんだとどうしても事務的に処理しがちなのだが、私は一人一人の方達がリラックスした楽しい体験となるようにしたいと願って撮影に挑んだ。結果はもちろんそれが反映された仕上がりとなって喜ばれたが、自分にとって一番嬉しかったのは帰り際に多くの方たちが握手を求めてきて「とても楽しい体験だった」と言ってくれたことである。 人物撮影というものはライティングどうのこうのという問題ではなく、人とのふれあいだと思う。